社会的行動障害のある患者との関わり方について

全国の看護師の皆さんこんにちは。

なすかわです。


「高次脳機能障害」を持つ患者の対応に困ったことはありませんか?

高次脳機能とは、言語・行為・認知・記憶・注意・判断などの行為であり、
これが障害されると、日常行為やコミュニケーションが円滑に行われなくなってしまうことがあります。

主に、脳卒中や頭部外傷など、脳血管疾患が原因で起こります。



脳血管疾患での予後は人ぞれぞれです。
寝たきりでADL全介助となる人もいれば、独歩で退院される方もいます。


しかし、これがまた問題であり、
高次脳機能障害で最も厄介なことは、独歩で歩行でき、麻痺もなく、
一見後遺症が残らなかったように見える人にも高次脳機能障害はあり得るということです。

これは、我々医療者も忘れがちなことです。


「あの人、ADL自立なのに何か変だよね。」
「普通にコミュニケーションできるのに、何で薬の管理ができないんだろう。」
「Aさん、ちょっと指導しただけですぐに怒りだす。情緒不安定なの?」

このように、患者の「なんとなく変な行動」について、『もともとの性格』、『そういう人』
などと決め付けていませんか?


特に院内では、「患者の暴力行為、セクハラ」について強く問題視されています。

もちろん、社会的には許されることではないです。


しかし、一度それは高次脳機能障害が原因であることを考えたことはあるでしょうか。

POINT

・見た目では後遺症がなさそうでも、高次脳機能障害があることもある。

・「変な人」ではなく、その行動は病気の症状によるものかもしれない。


脳というのは、前頭葉、頭頂葉、側頭葉、後頭葉に分けることできます。


これらの「葉」は領域によって様々な機能を司っています。

前頭葉

例えば、前頭葉。

前頭葉にも特有の機能があります。

前頭葉の機能としては

・社会的活動
・発語する機能
・運動機能


などがあります。

これらを司る前頭葉が障害を受けてしまうと、

・社会的行動障害
・注意障害
・遂行機能障害


などが現れます。

要は、

・感情をうまくコントロールできない
・社会的に見て不適切な行動をとってしまう
・自発的な行動ができない


といったように見られてしまいます。


先ほども見られた、暴力行為やセクハラもこれに当たることがあります。

繰り返しですが、確かにこれらの行為は社会的には許されません。
病院によっては、一発で強制退院の措置を取られることもあるかと思います。

しかし、これらが高次脳機能障害だとして、
患者さんが本当に意図して行ったことではなく「病気の症状」としてこのような行為が出ているとしたら

十分なアセスメントをせず、リハビリや治療の余地を残したまま患者を社会に返すというのは、
本当に『医療者』としてのあるべき姿なのでしょうか?


見た目としては後遺症がないように見えても、実は高次脳機能障害が強く残る場合もあります。

きっと、そこに気がつくことができずに退院させてしまうと、患者は社会生活を営むにあたり、大変苦労することになるでしょう。
ご家族や周囲の人たちからの理解も得られることができないかもしれません。


POINT

・前頭葉の障害で、社会的行動障害は起きる。

・まだリハビリや治療の余地を残した患者を退院させてしまう ことは医療者して良い判断なのか。

それでも社会的行動障害のある患者との関わりは、難しいものです。

特に上記で触れたような、感情を抑えきれなくなってしまうタイプの障害を持つ患者の対応に悩まされたことは誰しもあるのではないでしょうか?

たとえ、脳血管障害による高次脳機能障害だと理解していたとしても、理不尽な暴言や暴力行為には疲弊します。時には、こちらが感情に任せて暴言を吐いてしまうこともあるかもしれません。
また。身体抑制を使用することもあるかと思います。


抑制に関しては賛否両論ありますが、僕自身の考えとしては「抑制は看護において必要」だと思います。しかし「必須」ではないと考えます。

医療者自身の身の危険を守ることも、患者自身の生命を守るにも抑制を使用する場面はありますが、
僕たちが患者に暴力を振るわれるのが怖いように、
『患者にとって抑制は、医療者からの暴力になり得る』ことを念頭に入れる必要があると考えます。
それを念頭において、身体抑制の開始には細心の配慮が必要です。

では、どのような関わり方をすれば良いのでしょうか?

まず、問題行動を抑えることができない患者に対して誤った介入は、『問題行動自体を指摘する』ことです。

患者には何らかの原因があり、その結果として感情が抑えきれずに問題行動を起こします。

ですから、結果を是正するのではなく、そこに至るまでのプロセスに注目することが大事だと考えます。


なぜ患者がその行為をしたのか?
それは環境のせいなのか、医療者の口調が悪いのか、家族に会いたいのか、どこか痛いのか。

そこから考えていくと、医療者側の心の疲弊は多少は抑えられるのではないかと思います。

要は、高次脳機能障害や認知症が原因で問題行動をしてしまう患者と関わる際に最も大事なのは
『心の余裕』です。

たまに患者と大声で口論になっている看護師を見たことありませんか?
僕の考えですが、あれは非常に醜いです。


患者と同じ目線でケンカしているようでは、看護師のライセンスを持っている意味がありません。

僕たちは常に心に余裕をもち、患者の行動の背景には何がある?を考え続けることが大事です。

それでも、「どうしても患者の対応をしきれない、このままでは心の余裕がなくなってしまう!」
というときは、一度深呼吸をつくのも良し。他のスタッフに変わることも良しです。
意外と、他スタッフの異なった目線からの関わりで、患者の問題行動は消沈することもあります。


また、どうしても寄り添うことができない。暴力やセクハラの域が度を超していると感じた場合には、強制退院、場合によっては裁判を起こすことも病院や個人の権利として認められています。


看護師として働いていく以上、患者の問題行動に直面することは避けられません。
そんな時、看護師として患者に寄り添い、双方にとって気持ちの良い関わりができるといいですね。

POINT

・患者の問題行動を是正しようとするのではなく、そのプロセスに注目する。

・問題行動のある患者と関わる上で最も大切なのは『心の余裕』


高次脳機能障害、特に社会的行動障害の患者との関わりは本当に難しいですよね。
僕もかなり苦手でした。

しかし、この『看護師失格?』を読んでからその意識は少し和らぎました。
脳卒中リハビリテーション認定看護師の小林雄一さんが著書の、日々病棟で誰しもが経験しそうな患者との関わりを振り返っていく話です。12の事例が、エッセイ調で読みやすくまとまっています。

話に出てくる看護師が、問題行動のある患者との関わり方で悩んでおり、まさに自分の姿と照らし合わせながら読むことができました。

看護師なら誰でも一度はぜひ読んでいただきたく、多くの方にとってバイブルとなり得るような一冊だと思います。
もし良ければ読んでみてください。

ではまた!



なすかわ

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